きれいなものを、みつけに ー小豆島ガールー

小豆島で輝く女性の「きれいなもの」がいっぱい!

クリエイター

震災がくれた小豆島との出会い


「『小豆島だ!』って、思った。他に行く場所を探そうなんて思わなかった。」
理由なんて、それだけでいいのかもしれない。
2011年3月11日。東日本大震災で勃発した、原発問題。その渦中の福島県で暮らしていた加藤敬子さんは、旦那さんとお子さん3人の家族5人で、この小豆島へと引っ越してこられました。「このままだと、子どもたちの身が危ない。いくら気をつけたとしても、放射性物質が生活空間に漂う中での暮らしには限界がある。子どもたちを育てていくためには、新しく生きていく場所を探さなくては…。」そう考えたとき、ある場所が思い浮かびました。それが、小豆島だったのです。
「今やりたいと思ったことは、今やらなくちゃ!」
いつだってそう思って生きてきた敬子さんは、今回の小豆島移住も、自分の直感を信じて決めました。「ずっと前から呼ばれている気がして・・・」。そう話す彼女の、前向きで明るい笑顔はどこからきているのでしょうか?
Q1.あなたの普段していることを教えてください。
家事、育児、引越しの片付けの傍ら、知人から頼まれた原稿を書いたり、パッケージやロゴデザインを考えたりしています。6月上旬に小豆島へ来てから、まもなく4ヶ月を迎えます。本当はこちらに来てすぐにでも仕事をしたかったのですが、新しい生活リズムをつかむまでは家族のために時間を使おうと思い、これまでを過ごしてきました。今回の地震と原発事故は、子どもたちにとっても大きな恐怖だったはずです。そんな子どもたちも、夏休み中に真っ黒に日焼けをして、今ではすっかり『小豆島っ子』。新学期のスタートを切ったのを見計らった今、自分がこれまでしてきた写真・デザイン・編集の分野で、仕事を始めていこうと心を決め、そのための準備をすすめています。

Q2.今、がんばっていることを教えてください。
デザインの勉強と、写真の勉強の復習です。私が学んだのは手焼きの白黒プリントの銀塩写真。今思えば、時代がデジタル化へ移行する境目の、最後のアナログ世代だったんだなぁと。私はもともとアナログ人間なので、デジタル作業は得意ではないのですが、日頃、自分の子どもたちに『やる前からあきらめない!』と、偉そうに言っている手前、自分がやらないわけにはいかないですよね。毎日必死に時間を作って、本を片手に勉強しているところです。福島では一緒に仕事をしていた友人がいたのですが、こうして1人で仕事をするとなると、彼女に頼りきっていたんだと気付かされます。彼女は、急に福島を離れることになった私を快く送り出してくれました。私が一人前の仕事をこなせるようになることが、その友人への感謝のしるしでもあると思い、毎日頑張っています。


Q3.今後の目標を教えてください。
被災地の人たちの『道しるべ』の1人になれたらいいなと思います。原発事故からまもなく半年が経ちますが、未だに事故の収束の兆しすら見えない状況です。放射能汚染の影響を考え、避難したいと思っている人はまだまだたくさんいます。避難したくても避難できずに、毎日大きな悩みを抱えて生活している人たちのことを思うと、ついこの間まで同じ立場にいた私としては、とても他人事とは思えません。私や、私たち家族が、ここ小豆島にしっかりと根っこをはって生きていくことが、今、避難や疎開をしようかと悩んだり、迷ったりしている人たちの力になるんじゃないかなって思うんです。一度きりの人生、新しい土地で生きていくこともおもしろいんじゃないか、と思ってくれる人が1人でもいてくれたらなぁと思います。

Q4.あなたにとって、小豆島とはどんな場所ですか?
小豆島に来て一番印象深く感じたことは、みんながとびきりの笑顔をしていること。この島では、スーパーで見かけるおじいちゃんもおばあちゃんも、とても楽しそうに立ち話をしているんです。お年寄りが、明るい顔で元気に会話をしている光景を、こんなに目にする機会は今まであまりなかったかも。そして子どもたちもみんな、はち切れそうに元気いっぱいだなぁと思います。『この島の人たちの、心からの笑顔は一体どこから来るのだろう?』って考えたことがあります。答えはすぐに見つかりました。海も山も空も人も、全てが自然体だからなんですね。小豆島の自然の中にいると、肩の力がすうっと抜けて、自然と笑顔になってきます。子どもたちにも、砂浜を裸足で走る足の感触とか、飛び回る虫を掴んだ手の感触とか、駆け回って肌全身で浴びた日の光とか、そういう自然を体験して欲しい。その体験が、大人になったときの人間力というか、人としての源になると思うんです。体で覚えたことって、大きくなっても忘れないでしょう?そういう環境で子育てができるなんて、幸せだなと思います。

Q5.あなたのとっておきの小豆島の『きれいなもの』を教えてください。
まず1つ目の『きれいなもの』は、家の2階の窓から見える、内海湾(うちのみわん)の眺めです。子どもの頃からずっと、海のそばで暮らしたいと思ってきた願いが叶いました。ただ目の前の海を見ているそれだけで、幸せな気持ちでいっぱいになります。しかも、ここからの眺めは、福島で大好きだった湖『猪苗代湖』(いなわしろこ)にもよく似ているんです。福島がいつもすぐそばにあるような気がして、寂しい気持ちにならないんです。
もう1つの『きれいなもの』は、西村の農面道路から見える内海湾と瀬戸内海の眺め。ここは高台になっているので、瀬戸内海がまぁるく広がるように見えるんです。この景色をみると、いつも元気がわいてきます。運転しながらいつも見入ってしまうので、同乗している家族に『危ないからちゃんと前を見て!』と怒られてしまうのですが。
小豆島は、どこから見ても本当に美しいところだと思います。まだ暮らし始めたばかりなので、これからどんな『きれいなもの』に出会えるのか、とても楽しみにしています。


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