きれいなものを、みつけに ー小豆島ガールー

小豆島で輝く女性の「きれいなもの」がいっぱい!

農業

古き良き日本の心


アルバムの写真にうつっているのは、これまで宿を訪れてくれた人たち。懐かしそうに、でも、まるで昨日のことのように、今まで出会った人たちのことを話してくれた。人種もさまざま。抱えている悩みもさまざま。生のブロッコリーを食べる人。ヒッチハイクと徒歩だけで旅をしてきた人。毎年来てくれる人。1枚の写真の中に、それぞれのストーリーがある。
今回取材させていただいたのは、『小豆島 コスモイン有機園』を営んでおられる、今川早苗さん。「自分が食べるものは、自分で作りたい」。そんな想いで、32年前から旦那さまと2人で有機野菜作りを始めた。宿泊業もはじめ、6年前に ※1『WOOFF(ウーフ)』という制度を取り入れてからは、海外からのお客さまも多くなった。今川さんと共に時間を過ごすと、誰もが必ず学ぶ。丁寧に、生きる。ということ。
「特別なことをしているわけではなく、父と母がしてきた当たり前のことを、当たり前のようにしているだけなんですよ」。
そう言いながら、アルバムのページをゆっくりとめくる手には、溢れるほどの愛情と、数えきれないほどの知恵が詰まっている。

Q1. あなたの普段していること(仕事内容など)を教えてください。
有機野菜作りです。野菜作りといっても、土づくりがまず基本。土の力で野菜は強くなるから、良い土を使えば虫がつかないんですよ。家庭から出る有機的なものや、飼っているヤギの糞、抜いた草などを山積みにし、EM菌・発酵菌をぬかに混ぜてそこにばらまき、その堆肥の山を足で踏む。そうすると、あとは自然の力で良い堆肥ができます。昔はどこでもそういう風にしてきたのよ。手間と時間を惜しんではだめ。まずは、土づくりが大事。

Q2. 今、がんばっていることを教えてください。
野菜作り、宿泊業はもちろん、小豆島観光ガイドもしています。実は、このガイドの仕事が1番好き。私がガイドをすると、バスの運転手さんにはいろんな場所に寄ってもらいます。棚田を見せたり、桟敷を見せたり、今の日本人が忘れている原風景を見せてあげたい。少し遠回りしてでも、この島の歴史や本質を、皆さんに見て帰ってもらいたい。それは、農業と一緒かもしれないですね。ちょっとした手間暇で、実は、本物に出会えたりする。観光も一緒で、駆け足で見てまわっちゃだめ。贅沢に時間を使って、ずしんとくる『小豆島の時間』というのを感じてほしい。宿泊できてくれた人にも、観光できてくれた人にも、農業を学びに来てくれた人にも、本質を見る目を持ってほしい。

Q3. 今後の目標を教えてください。
日本に残されている古来からの良いものを取り入れて、人々を通して伝わっていくといいですね。少し考えて、少し手間をかけることによって、ささやかだけれど気持ちが満たされる。言って伝えるのではなくて、一緒に過ごす「時間」で伝える。宿泊に来てくれた親子と一緒に農作業をしていて、両親がお子さんに教えているのを見ると、「うわぁっ」って嬉しくなっちゃいます。

Q4. あなたにとって、小豆島とはどんな場所ですか?
瀬戸内海の宝石だと思っています。宝石は、もとはただの石ころ。その石は、人の手で磨くことによって、輝く宝石となる。小豆島も、気づかれていない素晴らしい場所に、人が足を踏み入れることによって、輝ける場所がたくさんあります。春夏秋冬、これだけの自然の恵みがこの島にあるっていうことが、ありがたいですね。

Q5. あなたのとっておきの島の『きれいなもの』を教えてください。
場所はどこでも良いの。例えば、田んぼの中に咲いたかわいいお花とか、ふと見た瞬間にきれいだと思った景色とか。あえて言うなら、川の渓流が好きですね。川って歴史があるんよ。吉田ダムや殿川ダムの上流をじっくり観察しながら歩きます。いろんな発見があってね。おもしろいのよ。

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※1 WWOOF(ウーフ)…有機農場を持つ受け入れ側と、有機農場について学びたい、働きたいと思っている人(ウーファー)とをつなぐ制度のこと。詳しくはWWOOF Japan

photo by kelly
written by mameco