きれいなものを、みつけに ー小豆島ガールー

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島での出会い, 島仕事

やまひら醤油さん 107年の絆


ダイハツのCMで出てくる『やまつち醤油』というお醤油屋さんは、実は『やまひら醤油』という名前で実在しています。
しかし、『やまひら醤油』という醤油は小豆島でも滅多に見かけることがなければ、関西や関東で見かけることはありません。
それもそのはず。『やまひら醤油』さんは、107年もの間、瀬戸内の島々の方に手渡しし続けているお醤油屋さんなのです。
せとうち暮らし』の『醤油ソムリエールのひしお日記』でご紹介したく、6月にやまひら醤油さんを3回に渡って取材をさせていただきました。今回は、印象深かったことを思いつくまま10個ご紹介します。
(『せとうち暮らし 8号のテーマが『海』や『船』だったので、やまひら醤油さんがピッタリ!と依頼)

1. やまひら醤油さんの醤油は全て『桶仕込』。
しかし、私が島のいろんな方に「桶で仕込んでいて」などの話をしても『?』という反応。
桶仕込や原材料などは、気にしたこともない様子。大切なのはとにかく『やまひら醤油』であることのようです。

2. 3代目自ら船を操縦。『船乗り』でもあり『醤油職人』でもあり『営業マン』でもあります。
「船の上では迷ったらあかん。常に先を読んで瞬時に判断せなあかん」
ちなみに出発時間や島を回るスケジュールは波の満ち引きに合わせます。

3. 島に到着。必要な本数だけ船から降ろします。
「予め行く日を伝えて、注文をとっているのですか?」と尋ねると
「いや、小型の船は天気に左右されるから行くって伝えん。でも、それぞれの家に昔っから届け続けよったら、今何本必要になっとるかわかるんや」
実際に届ける先々で「何本ください」などの会話などありません。身の上話が続きます。

4. 島に運ばれている醤油はやまひら醤油さんの醤油だけでなく、大手さんも入っています。
「安い醤油は入ってきよんで。でも、このおやっさん(やまひら醤油の大将)醤油じゃなきゃ美味しないんや」どこの島で誰に尋ねても同じ返事。

5. お昼時間。醤油を受け取った家の方が「うちで食べていき」と招いてくれました。
新鮮な野菜サラダや採りたてのダメ貝を出していただき、帰りにはお土産までも!

6. 一升瓶が入ったケースをひょいと担いで坂道も軽々と登っていき、届けた先で楽しく話をする3代目(74歳)。やー、元気であるはずです。

7. 突然なので留守の家もありました。そんな時は新しい醤油を置き、家の外に置かれている空瓶を引き取ってメモして帰っています。「支払いは?」と尋ねると「今度会った時に。醤油がなかったら困るやろ」。

8. 配達先の方に「いつからやまひら醤油さんのお醤油を使っているんですか?」と尋ねたら、「わしのじいさんの時から使いよるからわからんなー」と。そして、お互いの『おじいさん』について思い出話を始めていました。

9. 島の方に「定期航路がないのは大変でしょう」と尋ねると、「小豆島の人たちが1人1台車を持ってでかけてるように、私たちは1人1台船があるから買いもんもすぐ行けるよ。ゆたかな自然の恵みを得ながら静かに過ごせるからええでー」

10. 屏風島でも向島で直島の方のお話をしていました。同じ島内の方々が知り合いなのは想像していたけれど、近くの島の方のことまで知っているのは驚き。それだけ島同士の交流があることを物語っています。
そして、いろんな瀬戸内の島々の方を107年も知っているやまひら醤油さんの存在は大きいです。

kelly