きれいなものを、みつけに ー小豆島ガールー

小豆島で輝く女性の「きれいなもの」がいっぱい!

島での出会い

新桶初搾り醤油


これは醤油。しかし……たかが醤油と侮るなかれ。
この醤油は今最も注目すべき醤油でしょう。

この醤油を育て上げたのはこの方、ヤマロク醤油5代目 山本康夫さん。
桶の中で山本さんが凛々しく見つめているお醤油は、その名の通り『新桶初搾り』

このお醤油を仕込んだ桶がこちら。
2009年10月24日にヤマロク醤油さんにこちらを含む『新桶』が7本納品されました。
実は、醤油を仕込む新桶が納品されたのは戦後初のこと。
後日、更に5本到着したのですが、桶屋さん自身「こんなに新桶が並ぶのを見たんは初めてや」と何度も写真を撮っていたそうです。

桶がずらりと並ぶ

ここで『桶』の話を少し。
このお話は皆様もけっして人ごとではありません。
今ここで『桶』に対する価値観が変わらなければ、私たちのひ孫は日本の伝統的な調味料を口にできないのです。
戦前まで『桶』は風呂桶や物の運搬など人々の日常に溶け込み、当たり前のように使われていました。
「コン、コン、コン」と桶屋さんが桶を作る音が日本中に鳴り響き、
醤油も桶で作ることが当たり前でした。

大手醤油メーカーの醸造用タンク

しかし、戦後に一定品質のものを短期間で大量生産しようと、桶からタンクやプラスチックなど化学素材による容器に変わっていきました。桶の湯船につかり、桶で湯を汲むことがなくなるのは当然のこと、お酢でもみりんでも酒でも味噌などの日本の基礎調味料も桶では仕込まなくなりました。
今もなお桶で仕込まれている調味料は味噌と醤油が多いのですが、その醤油ですら1%を切りました。

大阪の堺 藤井製桶所の桶職人3兄弟

『伝統はかみしもからきえていく』これは、桶職人さんから教えていただいた言葉です。
桶を作るにも材料が手に入らなくなっています。そして、その材料を加工する道具を作る鍛冶屋さんが昨年末になくなりました。そして、大桶を作ることができる桶屋さんはついに1社のみとなっています。
それはなぜか…桶屋に桶の注文が入らないからです。
さらにそれはなぜか…一定品質のものを短期間で大量生産して生まれる醤油を選ぶ社会があるからです。
そのお醤油も大切です。しかし、そのお醤油ばかりではひ孫の代には桶が消え、以降日本の伝統的な基礎調味料を口にすることはなくなります。

6代目予定の康蔵君と康夫さん

山本さんは自身の役割を「子や孫に残すことだ」とおっしゃいます。
先祖代々残してくれたから今の山本さんがあり、子や孫にも残すためには何をしなければならないか…。
そこで12本の桶を買いました。1本で乗用車を買うことができます。
今の時代、桶で醤油を造るだけで大儲けをすることなどありえません。
しかし、今買わなかったらひ孫の代に桶仕込み醤油を造れなくなるのです。

桶職人修行現場

山本さんは思いが募り『木桶職人復活プロジェクト』を初めました。
なんと、山本さんが桶職人になろうというのです。
地元の豪腕の大工を口説き、今年1月10日から3日間、残り1社となった桶屋に修行に行き、現在小豆島で練習中です。
今ならその『桶仕込の醤油を残す』という想いの籠った醤油が手に入ります。
その時、ぜひ桶仕込みの醤油を造る現場に足を運んでから、お醤油を体感してみてください。
現場が一番伝えてくれます。一緒に伝統を進化させていきましょう。
[新桶初搾り 醤油data]
仕込み日:2010年4月9日(2年4ヶ月間仕込)
原材料:国産丸大豆(福井県産エンレイ)、国産小麦(北海道産ホクシン)、天日塩
全国販売:500ml…1050円(9月19日に出荷開始)
島内販売:500ml…1050円 / 100ml…420円(島内限定2000本) 9/22本日販売開始

kelly